通票通過授受は、停車場において駅長等と2人乗務の助士(現:補助運転士、以下助士)との間で走行中に通票交換を行います。これを行 うために停車場側では、助士から通票を受け取る者と助士に授ける者の2人が必要ですが、受け取る者の代わりに通票受柱、授ける者の代わりに通票授柱を停車 場に設置することによって駅長等1人で通過授受を行うことができます。また通過授受の際の負傷事故をなくすという大きな目的もあります。
一般的には下図のように通票受柱と通票授柱はそれら1対が上下線共に設置されますが、当然のことながら自動閉塞区間との境界停車場では通票受柱、通票授柱 いずれか一方の設置となり、末端の貨物駅などでは通票受柱のみ設置される場合もあります。また、交換不可能停車場やスイッチバック停車場、1線スルー式停 車場などでは、同一ホーム(同じ側)に2対設置されることもあります。
通票受授柱は通過列車のために設備されるものですが、助士が乗務している停車列車においても使用することがあります。たとえば長大編成で先頭車両の停止位置がかなり前方で、停車してから駅長と運転士との間で通票受授を手渡しで行っていると時間がかかる場合などです。
通票授柱・受柱は全国各地で様々なタイプが考案され使用されてきました。それぞれのタイプは旧鉄道管理局・支社単位で存在することが多く、蒸機の改造仕 様と同じように地域の特色となっていました。各タイプ出現の意義は、ひとつに旅客の乗降に支障をきたさないようにすることです。信号場であれば問題はない ですが、多くの駅ではプラットホーム上に通票授柱・受柱が設置され、列車との間隔(ホーム際との間隔)がほぼ決まっており、広くとることができないためで す。よって不使用時に旅客の邪魔にならないようにすること、もうひとつは使用する際に簡単にセットできるようにすることです。
●通票受柱(受器)
通票受柱は停車場に設置され、通票閉塞区間(併合閉塞時の票券閉塞を含む)において停車場を通過する列車の助士より、前の停車場からの通票を受 けるための設備です。列車進行順ではまずこの通票受柱が設置されます。基本形はラセン状で全国的に存在しましたが、ラセンと柱の関係、ラセンの巻数でタイ プ分けができ、ラセン状でないタイプも存在します。通票受柱はその位置上、ホーム上設置であることが多いので、ほとんどのタイプが[柱ごと移動させて定位 置に立てる][跳ね上げる][「受け」の衝撃で「受器」を落とし、柱ごと移動させて定位置に立てる]のいずれかの方法で格納され、旅客の邪魔にならないよ うになっています。
通票受柱一覧へ
●通票授柱(授器)
通票授柱は停車場に設置され、通票閉塞区間(併合閉塞時の票券閉塞を含む)において停車場を通過する列車の助士が次の停車場までの通票を受け取 るための設備です。列車進行順では通票受柱の先方に設置されます。その間隔は50〜100m程度で、通過列車の最高速度設定により前後します。通票授柱 は、ホーム上では先端あるいはホームより先方に設置されることが多く、旅客対応を考えないタイプもありますが、[通票の重さを失ったことによる復帰(錘、重力)][授けた瞬間に通票押え板が跳ねることによる復帰(バネ、錘、重力)][前2者の併用復帰][手動による復帰]という方法に様々な工夫を見ることができます。
車上キャッチャーに対応するには、下図のように線路中心からの距離とレール面からの高さの標準寸法に基づいて設置されます。
通票授柱一覧へ
直線区間における寸法のため、曲線区間ではカント等の寸法補正が必要になります。
左図寸法制定以前に考案された通票授柱で最後まで対応工事をしていない線区のものは、車上キャッチャー不使用のままでした。逆に車上キャッチャー高さを変更して通票授柱に対応していた線区もありました。