通票受柱(受器)一覧

通票受柱のタイプ一覧です。主として1982年頃以降に存在していたものです。
エリアは旧総局・鉄道管理局で分けており、線名および確認できている限り駅名も記しています。実際に確認できたものだけを載せていますが括弧内の線名・駅名は図書等で確認したものです。もちろん記載以外での存在もあるはずです。
「全停車場」としている場合、両端の停車場は含みません。
各タイプ説明文中「受器」は通票受授具を受ける部分を指し、「タマ」は「受器」先端取付の球状、円柱状、円錐状部品を指します。


北海道総局

1-根室本線尾幌駅 1984.3
北海道全域では、車上キャッチャー下部のフックで「投げ」が出来るようになっているので、他のタイプよりも車両に接近しています。また受器ラセンの勾配がきついのが特徴です。柱とタマが木製、受器が鉄棒です。塗装は柱、タマが白、受器が無塗装です。
機構は抜差し式で使用時にホーム角穴に差し込まれます。 受器ラセンは、柱取付け部の軸受を中心に回転させることができます。「受け」時の衝撃吸収と旅客対策と思われます。

函館本線熱郛-塩谷間 ・石勝線新夕張駅 ・天北線全停車場 ・宗谷本線音威子府〜南稚内間全停車場 ・根室本線東釧路〜根室間全停車場 ・(石北本線)


秋田鉄道管理局

2-男鹿線脇本駅 1988.8
男鹿線に存在し、受器ラセンの巻き数が少ないものです。 ラセンと柱は完全に固定されています。柱とタマが木製、受器ラセンが鉄棒です。塗装は柱が白、受器が白黒のシマ塗装です。
機構は抜差し式で柱に把手が付き、使用時にホーム角穴に差し込まれます。

男鹿線全停車場


盛岡鉄道管理局

3-北上線和賀仙人駅 1988.8
「2」と同様のラセン型ですが、柱が鉄管になっています。巻き数が少なく、また安定させるために接地部は四角錐になっています。塗装は柱が黒、受器ラセンが黄黒のシマ塗装になっています。
機構は抜差し式で使用時にホーム角穴に差し込まれます。

北上線全停車場


盛岡・秋田・仙台・新潟鉄道管理局

4-磐越東線磐城常葉駅 1988.8
極めて一般的なタイプで東日本の広範囲で見ることができました。受器ラセンの巻数に差異があります。また古いものは、ラセンが逆勾配になっていました。塗装は全て白が多いですが、ラセンのみ無塗装のものもありました。柱とラセンは固定されています。
夜間照明専用の柱が隣接して設けられることもあります。

花輪線全停車場 ・八戸線本八戸〜久慈間全停車場・五能線全停車場 ・大船渡線全停車場 ・仙山線全停車場 ・米坂線全停車場 ・磐越東線全停車場 ・ 磐越西線喜多方以北 ・(会津線) ・(只見線)


高崎鉄道管理局

5-足尾線神土駅 1987.3
柱と受器ラセンは固定されずに90°回転します。衝撃吸収と旅客対策のためと思われます。受器ラセン先端のタマは円錐形になっており、この地域特有のものです。
塗装は全て白ですが、 八高線更新タイプでは柱が角鉄管で塗装は全て無塗装亜鉛メッキです。
機能は抜差し式で使用時にホーム角穴に差し込まれますが、使用時位置のままのものが多かったようです。

足尾線全停車場・八高線高麗川〜倉賀野間全停車場


静岡・金沢鉄道管理局

6-佐久間レールパーク 2004.3
飯田線のみの存在で、特殊な部類です。全て白塗装、金属製です。機構は、不使用時に跳ね上げるタイプです。タマは鋳物で、専用部材を多用しています。

飯田線豊川〜辰野間全停車場・富山港線城川原


静岡鉄道管理局

7-天竜浜名湖鉄道宮口駅 1998.9
一般的なタイプですが、木製柱の上端が角錐状になっています。柱、受器ラセン先端のタマが白塗装、受器ラセンは無塗装です。
抜差し式になっており、使用時に角穴に差し込みます。
写真例は、受器ラセン先端のタマが脱落しています。

二俣線全停車場


大阪・福知山・金沢鉄道管理局・衣浦臨海鉄道

8-宮津線丹後神野駅 1990.1
最後の通票特急[あさしお]で使用され、1955年頃には存在していました。柱は多くが古レールを利用したものが多く、受器は「つ」字型をしています。塗 装は柱が白、受器・ヒンジ部が黒になっています。機能は、柱と受け部がヒンジで接続されており、使用時に閂を外して手動で90°倒します。 使用後は90°跳ね上げて閂を入れます。「受け」による動きはありませんが、跳ね上げ時は存在感がありました。比較的広く存在し、現在は衣浦臨海鉄道に 残っていますが、同鉄道開業時期に国鉄線で撤去されたものを再利用したと考えられます。

(大糸線平岩駅) ・氷見線伏木、能町駅 ・越美北線美山駅 ・敦賀港線敦賀港駅 ・小浜線全停車場 ・宮津線全停車場 ・姫新線余部、太市、本竜野、東觜崎、播磨新宮、西栗栖、三日月、播磨徳久、佐用、上月駅 ・(山陰本線馬堀〜居組間) ・衣浦臨海鉄道碧南駅


大阪・天王寺鉄道管理局

9-
一般的なラセン形です。柱が鉄管でその穴にラセンを挿入しているので受器ラセンだけでも抜差しできます。塗装は全てが白、あるいは受器のみ黒もあります。 機能は抜差し式で使用時にホーム穴に差し込まれますが、ラセン部のみ90°回転できます。「受け」時の衝撃を吸収するためとラセン先端のタマが旅客の邪魔 にならないように考えられたものと思われます。抜差し可能で柱ごと使用位置に移動し使用します。高機能ラセン形といえます。

奈良線全停車場 ・関西本線笠置ー関間 ・和歌山線 ・紀勢本線 ・兵庫港線兵庫港駅


大阪・天王寺・福知山鉄道管理局

10-宮津線天橋立駅 1990.1
「8」と同タイプですが柱が木柱です。受器ラセンと柱の接続はU形の金具によります。塗装は全て白、あるいはラセン部のみ黒があります。最後まで 存在していたのは定期通過列車設定のない停車場に限られていましたので「通票受柱8」の旧タイプといえるでしょう。
機構は 「8」とまったく同様で、U形金具を軸として受器ラセンが90°回転できます。抜差し可能で柱ごと使用位置に移動し、使用します。

加古川線日岡、厄神駅 ・片町線田辺、祝園駅 ・宮津線天橋立駅 関西本線中在家信号場


岡山・米子・釧路鉄道管理局

11-因美線美作河井駅 1988.5
JR上最後の通票受柱となりました。柱は鉄管で受器は「く」字形になっています。塗装は全て白(米鉄内)、柱上部のみ黒(岡鉄内)、1990年更新タイプ は亜鉛メッキ無塗装ですが、後に白塗装されています。また、姫新線(岡鉄内)のものは、受器落下時に受器と柱が当たる部分にゴムを巻いており、柱径は因美 線のものより太くなっています。機能は、使用時に使用位置の穴に差し込み、受器を柱上部に掛けて地面に対して水平にセットします。「受け」時に 受器「く」字形角のΩ部に通票が掛って受器が落下し、使用後に柱ごと移動します。姫新線内のものは固定で抜差しできないタイプでした。小空間で「受け」を 確実に行うことを考えられており、また「受け」時の自動的機能と手動での移動を合わせ持った最も特殊なタイプです。

姫新線美作江美、勝間田駅 ・因美線全停車場 ・(山陰本線出雲市〜長門市間) ・池北線


広島鉄道管理局

12-
「9」の簡易型といえます。受器と柱は固定で機能はありません。全て白塗装です。抜差し可能で柱ごと使用位置に移動し、使用します。

可部線横川〜可部間全停車場


四国総局

13-土讃本線日下駅 1985.8
四国内の存在で、「12」に酷似し、ラセンタイプの完成型といえます。塗装は全て白です。
機能は、「通票受柱9」「通票受柱12」と同じように、衝撃吸収と旅客対策で受器ラセン部が90°回転します。 抜差し可能で柱ごと使用位置に移動し、使用します。

徳島本線全停車場 ・土讃本線高知〜窪川間 ・牟岐線全停車場 ・予讃本線松山〜宇和島間


四国総局

14-高徳本線造田駅 1976 
画像:t_yosi様ご提供
四国内の存在で、「通票受柱13」の簡易機能版といえます。塗装は全て白です。
回転機能はなく、抜差し可能で柱ごと使用位置に移動し、使用します。

高徳本線等


九州総局

15-田川線豊津駅 1988.4
「通票受柱2」のように柱が木製で最も簡素な通票受柱といえます。塗装は柱・タマが白、受器ラセンが無塗装黒です。極めて古いようでラセンが垂れ下がり逆勾配になってしまっているものもありました。
機能は、抜差し式で使用時に使用位置角穴に差し込みます。

田川線全停車場 ・松浦線全停車場 ・肥薩線全停車場 ・日南線 ・志布志線 ・(豊肥本線) ・(久大本線)


九州総局

16-大隈線吾平駅 1987.3
九州内で比較的新しい通票受柱です。塗装は全体が白です。大隈線等の狭い島式ホーム対応のためか、ラセンが小振りです。
機能は、抜差し式で使用時に使用位置角穴に差し込みますが、ほとんどは固定式であったと思われます。

日南線 ・大隅線